■ はじめに:「選べるはずなのに、なぜか重苦しい」自由の正体
情報は私たちの指先にあり、選択肢はかつてないほど豊かに広がっています。「自分のやりたいことを、自由に選んでいいんだよ」——そんな声が当たり前のように聞こえる時代に、私たちは生きています。
しかし、その輝かしい「自由」の裏側で、こんな感覚を抱いたことはないでしょうか。
「選択肢は目の前にあるのに、なぜか一歩を踏み出せない」
「自分で決めたはずなのに、これで本当に良かったのかという不安が消えない」
「あまりに多くの可能性を前にして、かえって途方に暮れてしまう」
この、“自由であるはずなのに、なぜか感じる重圧や不安”。この感覚に、最も深く、そして鋭く向き合った思想家の一人が、19世紀デンマークの哲学者セーレン・キェルケゴールです。彼の思索は、現代を生きる私たちの「自由と幸福」を考える上で、非常に重要な示唆を与えてくれます。
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