■ はじめに:「本当の自分」への問いが、静かに始まる

「この反応パターンは、もう手放そう」

「この思い込みは、私を縛っていただけだったんだ」

前回の記事までで、「ラケット感情」や「人生脚本」といった、私たちを無意識のうちに動かしてきた心の構造に光を当ててきました。そのプロセスを通して、長年演じてきた役割や、身にまとっていた感情の鎧に気づき、それを少しずつ降ろし始めた方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、その先で、多くの人が新たな問いに直面するのではないでしょうか。

「では、役割や脚本を脱ぎ捨てたあとに残る、『本当の自分』とは、一体何なのだろう?」

「これまで自分だと思っていたものは、作られた仮面だったとしたら、その奥にあるはずの素顔とは、どんなものなのだろう?」

私たちは長い間、「良い子でいなければ」「ちゃんとしなければ」「強くあらねば認められない」といった、“他者からの期待”や“社会的な役割”を自分の本質であるかのように生きてきた側面があります。その役割意識が薄れ、慣れ親しんだ脚本が力を失ったとき、私たちの前に立ち現れてくる、より深く静かで、本来的な自己——それこそが、私たちが探求すべき「真の自己」の姿なのです。

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