■ はじめに:「自信がない私」と、「自己肯定感」という言葉の罠
「何かがうまくいっても、『これは、たまたま運が良かっただけだ』と素直に喜べない」
「人から褒められても、どこか疑ってしまい、心から受け取ることができない」
「一度失敗すると、すぐに『やっぱり自分はダメな人間なんだ』と、深く落ち込んでしまう」
こうした感覚に、長年、あるいはふとした瞬間に、思い当たるという方も少なくないのではないでしょうか。「自信が持てない」「自分自身をなかなか信じることができない」——そして、私たちはしばしば、その状態を指して、「私は自己肯定感が低いからだ」と、自分自身を分析し、結論づけてしまいがちです。それは一見、的を射た自己分析のように思えるかもしれません。
しかし、私はここで、少し立ち止まって問い直してみたいのです。
「私たちが言う“自己肯定感”とは、そもそも一体何なのでしょうか? それは、単なる“感情”や“気分の状態”の問題なのでしょうか? それとも、もっと根源的な、私たちと自分自身との“関係性の構造”に関わる問題なのではないでしょうか?」
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