老後のためにお金を貯めるのは愚かなことなのか?

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こんにちは、TOSHIです。

2019年のことだったか、「老後資金が2000万円不足する」という問題が騒がれていました。私たちにとって、老後の資金をどう確保するのかということは大きな関心事であり、大問題です。

だからこそ、決して余裕たっぷりの生活ができる収入があるわけでもないのに、その中からコツコツ貯金をします。それは正しいことだし、そうしなければならない、と信じています。今やりたいことがあっても我慢して、将来のために、老後のためにお金を貯めておこうとします。

こんな本を読みました。
『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』

なかなか衝撃的な提言が並んでいます。

  • 人生で価値のあるものは経験である
  • お金は経験を買うためのもの
  • 若いときほど経験の価値が大きくなる
  • 死ぬときにはお金は使い切っているべきだ
  • 使い切っていないお金で買えた経験があったはずでもったいない

詳細はこの本を読んでいただいて、その議論を確認してもらえればと思います。思うところも様々あるでしょう。

私ももちろん個々の議論について意見はありますが、ここでは触れません。それよりも、それまでに「当たり前のこと」として無批判に受け入れてきた考え方を見直すと大きな発見がある、ということをここで指摘したいのです。

会社員の頃(変化する前)の価値観

私自身は会社員だった頃までと、起業して自分でビジネスをするようになってからとで、大きく価値観や考え方が変わりました。変わったというよりも、変えざるを得なかった、というのが正しいかもしれません。

特に、お金に関する価値観や考え方に大きな変化がありました。そのうちの一部ですが、特に大きなものをここで挙げてみたいと思います。

・後で楽できるように今は苦労するべき

この価値観はかなり根深いものでした。中学生の頃には確実にありましたし、もしかしたら小学生の頃からもあったかもしれません。

楽しみを先延ばしにして、苦痛なことをやる。「後で楽ができる」と信じて……。

中学高校のときは勉強で、大学のときはアルバイト。周囲の皆が楽しそうに遊んでいたりするのを脇目に見ながら、「後で自分は楽しい思いをしよう」と苦痛なところに身を置いていました。

極めつけは最初の就職のとき。「大変なことをやって苦労しておけば、後から楽になるだろう」と信じて、ブラック企業に就職してしまいました。さすがにこの時は、その苦労が尋常ではなくて精神的に耐えられずに数か月で病気になってしまいました。

・収入の範囲内で生活をしなければならない

会社員時代の最高手取額は35万円くらいでした。20万円前後ということが多かったように記憶しています。その決して「多い」とは言えない収入の中から、それを超えない範囲での支出しか自分に認めていませんでした。

手取りが20万円のときは、常に20万円以下しか使うことを自分に許しませんでした。超えてしまうことが怖くて仕方なかった、と言っても良いかもしれません。

超えたところで、その分を貯金から崩せば良いだけなのですが、歯止めが利かなくなってズルズルと一文無しになってしまうのではないか、と不安だったようにも思います。

学生時代は確かに貧乏で、学費を払って生活費を賄うのがやっとでしたが、社会人になってからは一応それなりの収入はあります。が、あまり生活水準は上がりませんでした。ユニクロで買う服が、自分の中ではかなりのおしゃれ着だったほどです。

・少しでも将来のためにお金を貯めないといけない

一つ上の項目と関連しますが、この強迫観念とも言える信念はものすごく強いものでした。だからこそ、月々の収入以内に支出を抑えて、必ず貯金をしていたわけです。そして、その貯金を崩すようなことは絶対にしない。

銀行預金の残高が、先月よりも増えているのを見て安堵していました。これを確認しないことには安心できない、という状態です。

本当に微々たる金額ですが、着実に銀行口座にお金を貯めていってはいましたし、「そうしなければならない」と思っていました。

・借金だけは絶対にしてはならない

これもとてつもなく強い「恐怖」のようなものを感じていました。まるで借金を背負った瞬間に死刑宣告でも受けるかのような。そう、借金をすることを犯罪であるかのように思っていました。

これは完全に親の影響で、「借金だけはするな」と何度も何度も言われてきました。家の建て替えをしたとき、父親の退職金を前借りして一括で代金を支払ったのだそうです。そのときのことを「借金だけはしなかった」と誇らしげに言うことがいまだにあります。

これは母親にしても同じことで、カードを使うときも必ず一括払いでした。分割払いをすることはありません。

保険料を支払うときは必ず年払いです。「月払いだと、どうせ1年分払わないといけないものだし、借金みたいで気持ち悪い」と言います。

そんな環境で育ってきたので、私もものすごい恐怖を「借金」に感じていました。カードも必ず一括払いでしたし、リボ払いなんてとんでもない、と思っていました。

起業して変化した価値観

ここまで挙げてきた価値観は、私をずっと長いこと縛り続けてきたものですが、起業して自分でビジネスをするようになる過程ですべて無くなりました。

もちろん、上記の価値観がすべて悪だとは言いません。必要な場合もあるでしょうし、その価値観があったからこそ、今も無事で生活できているのかもしれません。

ここから述べることは完全な結果論ではあるし、私の主観にすぎません。が、私の経験上、どれも根拠のない思い込みに過ぎない価値観だったことがわかりました。

そして、これに縛られていなければ、もっと充実した人生が送れていたし、もしかすると今ごろはもっと高みに到達できていたのではないか、と残念な気持ちになることすらあります。

・今の苦労に関係なく後でも苦労する

元も子もないですが、こういうことです。

今どれだけ苦労しようとも、後でもやはり苦労するのです。後で苦労するのか、楽ができるのか、それは今の苦労とはほとんど関係がありません。

確かに明日やらなければならないことを今日やっておけば、明日は楽になるかもしれません。が、明日になってみたら、それはやらなくて良かったことが判明するかもしれません。また、新たにやらなければならないことが生じるかもしれません。

先のことなんて、わからないのです。であれば、今楽しめることがあるのであれば、精いっぱいそれを楽しむべきなのです。今はこの瞬間にしかありません。

もしかしたら後で苦労するかもしれませんが、この瞬間にしかできないことを楽しまなかったがために、取り返しのつかないことになり後悔するかもしれないのです。こちらの方が私は大きな痛手だと思います。

・収入と支出はどこかで帳尻が合えば良い

厳密なことを言うと、一生間で収入と支出の帳尻が合えば問題ないのかもしれません。もっとも、私はそう断言できるまでのレベルには達していませんが。

少なくとも、年間レベルで帳尻が合えば良いのです。個人だったら確定申告で、法人だったら決算で、ちょっとの黒字が残るくらいになっていれば問題ないのです。

これは起業してビジネスをするようになって、そう考えるのが当たり前になりました。決算のときに黒字を残しすぎてしまうと、税金で取られてしまうので、なるべく黒字を抑えようとするのです。もちろん赤字だと良くないので、微妙なバランスで「ちょっとの黒字」になるようにあれこれ思考します。

だからこそ、月単位で毎回黒字にしようなんて考えることはなく、「先月は黒字だったから今月は赤字になっても……」とバランスすることをまず考えるようになりました。

・少しのお金なんて貯めても意味がない

一つ前の項目で述べたこととも関連しますが、黒字を残そうとすると、決算のときに税金で持っていかれてしまうということがあります。

そして、もっと大きな理由があります。

私は会社員時代の約10年間、コツコツと少しずつ少しずつ貯金を重ねてきました。数百万円はありましたが、起業して半年くらいで使い果たし、逆に借金をその倍以上抱えることになりました。

が、その2年後にはすべての金額を取り戻しています。ビジネスがちょっと軌道に乗っただけで手に入ってしまいました。

起業したときに使ったお金の大半は勉強代だったのですが、こんなことならもっと早くから自己投資をして少しずつ勉強しておけば、短期間で無理に詰め込むこともなかっただろうに、と残念な気持ちになります。

・借金はうまく使う

借金はレバレッジです。ビジネスを自己資金だけで回そうとすると、どうしてもスケールの小さいものしかできなくなってしまいます。借金をうまく使うことがビジネスでうまくいく鍵になるとも言えます。

銀行との取引があると、特にお金の必要がなくてもお金を借りることがあります。普段から融資を受けて、しっかり返済をしている実績を作っておくことで、いざというときに借りやすくなるからです。

また、お金を借りて余裕資金を持っておくことで、急な出費に対応できます。そういうことは滅多にありませんが、気持ちに余裕が生まれるので、安心してビジネスをおこなえるのです。

私が初めて借金をしたのはカードのリボ払いでした。15%以上の利息が付いてしまいます。ところが、銀行の融資は高くても3%とかです。圧倒的に利息が低いのです。

もちろん銀行で融資を受けるとなると審査もあるし、手続きもいろいろ大変です。先に述べたように、普段からのお付き合いにも気をつける必要があります。が、それでもそんなのは気にならないくらい、リボ払いなんかに比べると低利で借りられます。

普段から借金をすることに馴染みがないと、いきなりカードのリボ等で借りることになってしまいます。私もリボの返済には長期にわたって苦しめられましたが、これは大変危険です。

まとめ

起業する前後で大きく価値観が変わりました。

どちらが正解ということもないのでしょう。だから、あなたに押し付ける気は毛頭ありません。

ただ、今の私にとっては後者の方が「正解」なのです。

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