ビジネスとは、「問いの編集」である 〜形は変われど、届けたい本質は変わらない〜

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

■ はじめに:「この形に、囚われすぎていたのかもしれない」という気づき

長年ビジネスに携わっていると、あるいは一つのプロジェクトに深くコミットしていると、いつの間にか、ある種の「思い込み」に囚われてしまうことがあります。

「自分のスタイルは、これだ」

「このやり方こそが、これまで成果を出してきた正解なのだ」と。

例えば、オンライン講座という「形」。長年続けてきたコンサルティングという「届け方」。あるいは、特定のSNSにおける、自分なりの「発信スタイル」。それらは確かに、かつての私にとっては最適解であり、多くの価値を生み出してくれた、かけがえのない表現方法でした。

しかし、時が流れ、私自身の「在り方」が変化し、大切にしたい「価値観」がより深く明確になってきたとき——ふと、こんな感覚に襲われるのです。

「もはや、この慣れ親しんだ“形”では、今の私が本当に届けたい“問い”や“本質”が、十分に伝わらないのではないだろうか?」

「この“器”は、今の私の“魂”の熱量を、もはや受け止めきれなくなっているのかもしれない」と。

もし、あなたも同じような違和感を覚えているのなら。それは、これまでのやり方を手放し、新しい表現形態へと踏み出す、大切なサインなのかもしれません。

■ ビジネスの“本体”は、「商品」や「サービス」という形ではなく、その根底にある「問い」

私が、探究講座やこれまでのブログ記事を通して、繰り返しお伝えしてきたことがあります。それは、「ビジネスや表現活動とは、表面的な“形”や“手法”ではなく、その根底に流れる“あなたが何を問い、何を届けたいと願っているか”という、本質的な“問い”そのものである」という考え方です。

例えば、私の中に常に存在する、こんな問いかけ。

  • 「なぜ人は、社会的な役割や期待の中で、いつしか自身の本音を隠し、偽りの自分で生きてしまうのだろうか?」
  • 「どうすれば私たちは、不完全さや弱さを抱えたままの“自分であること”に、心の底から安心し、くつろぐことができるのだろうか?」
  • 「小手先のテクニックや、一時的な感情の共有を超えた、本当に魂が響き合い、信頼し合える“繋がり”とは、どのようなものなのだろうか?」

こうした、私自身の人生を通して生まれ、育まれ続けてきた根源的な「問い」が、ある時はオンライン講座という形を借り、ある時はコンサルティングという対話の形を借り、またある時はブログやSNSでの発信という言葉の形を借りて、外の世界へと現れているに過ぎないのです。

だからこそ、たとえ表現の「形」が変わったとしても、その奥にある届けたい「問い」の核心、伝えたい「本質」が明確であり続けるならば、ビジネスの魂は決して失われることはない、と私は信じています。むしろ、形を変えることで、その問いはさらに多くの人に、より深く届く可能性すら秘めているのです。

■ あなたのビジネスが行き詰まりを感じるなら、まず「今の自分の“問い”」に立ち返る

もし、あなたのビジネスや活動が、以前のような手応えを感じられなくなったり、どこか行き詰まりを感じたりしているとしたら。多くの人は、「ターゲット顧客を変えてみようか」「新しい集客媒体を試してみようか」「商品ラインナップを見直そうか」といった、外的な「手法」の変更に解決策を求めがちです。

しかし、私はここで、少し異なる視点を提案したいと思います。それは、「手法を変える前に、まず、あなたがいま、この瞬間に、最も強く感じ、心を揺さぶられている“内なる問い”とは一体何なのか?」と、自分自身の内側に深く立ち返ってみることです。

  • 最近、誰かとの会話の中で、強い違和感や、言葉にならないモヤモヤを感じたことはありませんでしたか?
  • 何か出来事に対して、心の底から、まるで自分のことのように腹の底からの怒りや、深い悲しみが湧き上がってきた瞬間はありませんでしたか?
  • あるいは、誰かの言葉や行動に触れて、静かに涙がこぼれるような、魂が震えるような共鳴体験はありませんでしたか?

そうした、あなたの感情が大きく動いた瞬間、あなたの価値観が揺さぶられた瞬間にこそ、“今のあなたが、社会に対して、あるいは自分自身に対して、最も切実に語るべきテーマ”が、まるで原石のように隠されているのだと、私は考えています。

■ 「問い」が定まれば、「手段」はもっと自由にしなやかに選び直せる

その“今、ここにある、最もアクチュアルな問い”が、あなたの中で明確な輪郭を持ち始めたとき。不思議なことに、それを表現するための「手段」や「形」は、以前よりもずっと自由で、しなやかなものへと変わっていきます。

  • 必ずしも、これまでのオンライン講座という形式にこだわる必要はないのかもしれない。
  • もしかしたら、短い音声での発信や、一対一の深い対話セッション、あるいはもっと静かな文章表現の方が、今の自分の問いを届けるのにふさわしいのかもしれない。
  • 極端な話、一時的に「発信しない」という選択肢を選ぶこと、沈黙の中で自身の問いを深めること自体が、次なる表現への大切な準備期間となることだってあるのです。

「何を、どんな熱量で届けたいのか」という、あなた自身の内なる「問い」の方向性が定まった瞬間、それを運ぶための「手段(チャネルや表現方法)」は、驚くほど柔軟に、そして創造的に選び直すことができるのです。

そして、このプロセスこそが、私にとっては、何かをゼロから作り直す“再構築”というよりも、むしろ、既存の要素や経験を、今の自分の問いに合わせて再配置し、新たな意味を与える“再編集”という感覚に近いのです。

■ 結びに:「ビジネス」とは、問い続けるあなた自身の“姿”そのもの

私がここ数回の記事を通して、一貫してあなたにお伝えしたかったこと。

それは、ビジネスとは、単なる収益活動や社会的活動というだけでなく、「あなた自身の内なる問いと、変化し続ける社会との、生きた接点」であり、その本質は、売上や事業規模、あるいは提供する形式といったものではなく、“あなたが今、どんな問いを持ち続け、その問いにどう誠実に応えようとしているか”という、その「在り方」そのものにこそ宿る、ということでした。

だから、迷ってもいいのです。

時に立ち止まっても、形を変えても、全く問題ありません。

大切なのは、どんな状況にあっても、自分自身の内側から湧き上がる「問い」から、決して目を逸らさないこと。

「何を届けたら、もっと売れるだろうか?」という問いから、

「私は、世界に対して、そして自分自身に対して、何を問いたい人間でありたいのだろうか?」

という、より本質的な問いへと。

この視点に立ち戻り、その問いと共に生きることを決めたとき、あなたのビジネスは、そしてあなたの人生そのものが、きっとまた新しいエネルギーを得て、静かに、しかし力強く再起動していくはずです。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*

CAPTCHA