「誰に売るか」から「誰と生きるか」へ 〜関係性の質からビジネスを再設計するTOSHIの探究〜

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■ はじめに:「売れる相手」を探すことから、「共に歩める人」と出会うことへ

「もっと売りたい」
「集客数を増やしたい」
「売上を安定させたい」

——ビジネスを営んでいれば、そう願うのは自然なことだと思います。私もかつては、これらの問いに多くの時間と思考を費やしてきました。

しかし、ある時期から、私はこの問いの立て方を変えました。

この、より本質的な問いへと視点を移してから、私のビジネスを取り巻く風景は、静かに、しかし確かな手応えをもって変わり始めたと思います。

■ マーケティングの“正解”と言われるものへの、静かな違和感

もちろん私も以前は、「ターゲット設定」「ペルソナ設計」「ニーズ調査」といった、マーケティングの王道とされる手法を一通り学び、実践してきました。

そして、それらは確かに機能しました。数字という結果も、ある程度はついてきました。

しかし、心のどこかで、拭いきれない「モヤモヤ」が残ったのです。それは、言葉にするならこんな感覚でした。

「売れてはいる。事業としても成り立っている。けれど、いま繋がっているこの人たちと、私はこの先もずっと、心から一緒にいたいと思えるだろうか?」
「効率的に『売る』ために最適化されたこの方法は、私が本当に望んでいた未来への道筋なのだろうか?」

後になって気づいたのは、それは表面的な関係性、つまり“共鳴”が伴わない繋がりの中で、私自身の内なるエネルギーが静かに、しかし確実に奪われていたからでした。テクニックで構築された関係は、どこか脆く、長続きしないのでしょう。

■ 「関係性の質」こそが、すべての設計の始まり

その経験以降、私のビジネスにおける問いは、根本から変わりました。

  • どんな価値観を持つ人となら、私は自然体で、長く一緒に歩んでいけるだろうか?
  • 無理に説得したり、自分を演じたりせずとも、互いを尊重し、高め合えるような関係性は、どのように築けるだろうか?
  • 私が本当に大切にしたい価値観に共鳴してくれる人とだけ、丁寧に、深く繋がっていくには、どうすれば良いのだろうか?

この「関係性の質」という視点を起点にして、提供するサービスやコミュニケーションのあり方を一つひとつ見直し、再設計していったのです。

すると、目先の売上数字の伸びよりも先に、“心の満足度”や“仕事の手応え”といった、内面的な尺度が大きく変化していくのを実感しました。

  • 無理な売り込みや説得が必要なくなりました。
  • クレームや、意図のすれ違いからくる問題が、驚くほど減りました。
  • 日々のメッセージのやり取りが、表面的な業務連絡ではなく、感謝や共感、そして共に探究する喜びに満ちたものへと変わっていきました。

■ 私が選び直した「関係性のあり方」——共に探究する場として

たとえば、私が主宰している「濃縮塾」という場では、その思想が色濃く反映されています。そこでは、「私が一方的に何かを教える」というよりも、「提示されたテーマについて、どう一緒に考え、深めていくか」という対話のプロセスそのものを大切にしています。

私は“絶対的な正解を持つ講師”として存在するのではなく、“参加者と共に未知を探究する一人”として、その場に身を置いています。時に迷い、時に悩みながらも、正直な言葉で対話を重ねていく。

  • 商品のスペックや機能的価値よりも、人と人との間に流れる“関係性の温度”を丁寧に整えること。
  • 一方的な説得ではなく、答えのない問いを“共に持ち続ける”こと。
  • 広がりや数だけを求めるのではなく、一人ひとりとの“関わりの深さ”を選ぶこと。

このスタンスこそが、私にとっての「関係性設計」の揺るぎない軸となっています。

■ おわりに:「この人たちと共に生きたい」と心から思える選択を重ねる

ビジネスの設計とは、単に売上や利益を伸ばすための戦略立案だけではありません。それは同時に、「自分が人生において、誰と、どのような豊かな時間を過ごしたいか」という、極めて個人的で大切な願いを具体化していく作業でもあるのだと、私は強く深く感じています。

一般的なマーケティングのフレームワークや効率論を少しだけ脇に置き、自分の心の声に耳を澄ませてみる。そして、「この人たちと、一緒にいたい」「この関係性を、大切に育てていきたい」と心から思える人々を選び、その繋がりを丁寧に育んでいく。

その先に生まれる売上や成果は、きっと短期的な数字とは質の異なる、もっと“健やか”で、心の底から納得できるものになるはずです。一見、遠回りに見えるかもしれませんが、長期的に見れば、これこそが最も持続可能で、豊かな道なのではないでしょうか。

だから今日も、私は自分自身に問い続けます。
「私は、本当は、誰と共に生きていきたいのだろう?」と。
その問いへの答えを探し続ける旅が、私のビジネスであり、私の人生そのものなのです。

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