なぜ稼いでも虚しい?ビジネスの違和感を解消する「自己探究」という働き方

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■ はじめに:なぜ“儲かる”だけでは満たされないのか?

「とにかく稼ぎたい」「売上さえ上がればいい」

——そう信じてビジネスという航海に出たはずなのに、ある程度の成果という名の島にたどり着いたとき、ふと心をよぎる言い知れぬ空虚さ。それは、「数字はたしかに伸びている。でも、私の心は動いているのだろうか?」という、無視できない違和感。

私は、そんな“モヤモヤ”と真正面から向き合い続けてきました。そして、こう確信しています。

これは単なる金儲けのゲームではありません。自分の「軸」や「本音」、そして心の奥底にある「感情」の声に耳を澄ませながら、マーケットという他者との【共鳴点】を探っていく、極めて人間的で、時に繊細さが求められる営みなのです。

■ 成果の向こう側にある問い:「これで、よかったのだろうか?」

私が直近で関わっているプロジェクトも、数字だけ見れば順調です。月商600万円を超える月もあります。傍から見れば、「成功」しているように見えるでしょう。

ですが、私はそこで立ち止まります。思考を巡らせます。

「たしかに売れている。手応えもあります。でも、これって本当に“私が届けたいと願ったもの”だったのだろうか?」

まるで、与えられた役を演じながらも、「本当にこの役を演じたいのか? この舞台で表現したいことは何だったのか?」と自問する俳優のように。

この違和感。これこそが、私がビジネスを単なる作業ではなく、“自己探究”と呼ぶ理由です。売上という結果だけでなく、そのプロセスにおける自分自身の心の動き、感情の揺らぎにこそ、次への道標が隠されています。

■ 感情はノイズではなく、内なる声を聞く“羅針盤”

ビジネスの世界では、感情はしばしば「邪魔なもの」「非合理的なノイズ」として扱われがちです。冷静な判断を鈍らせる、と。

でも私は、「感情こそが意思決定の“羅針盤”になる」と考えています。

たとえば、

「売上は伸びているのに、なぜか心がザワつく」
「プロジェクトは進んでいるのに、どこか満たされない」

こういう状態は、単なる気分の波ではありません。「感情のサイン」なのです。私はそれを受け止め、深く掘り下げていきます。「なぜそう感じるのか?」と。

私にとってビジネスは、「感情という内なるデータベース」にアクセスし、自己理解を深め、次の一手を見つけるための、生きたプロセスそのものなのです。心理学や哲学の知見も借りながら、自分の内面と対話し続けるフィールドです。

■ 「売れる」と「信じる」。その重なりを探し続ける旅

私が一貫して大切にしているのは、「マーケットで受け入れられること(売れること)」と「自分の信念・届けたい価値」が交差する“一点”を探し続けることです。

そのために、私は日常的に“静的な行為”を取り入れています。

  • 読書: ビジネス哲学、歴史、心理学…先人の知恵と思考に触れます。
  • 対話: 探究講座の仲間やクライアントと、オープンに対話を重ねます。
  • 内省: 自分の感情を丁寧に棚卸しし、言語化します。(モーニングノートもその一つです)

これらは決して遠回りではありません。むしろ、本質にたどり着くための最短距離だと信じています。

私にとって、「売上の最大化」は究極の目的ではありません。
「この商品・サービスは、本当に自分が届けたいものなのか?」
その問いへの答えが、心の底から「YES」と言える状態。その確信こそが、私にとってのビジネスの成功です。「精神的な充実」と「物質的な現実」が統合された地点を探す旅なのです。

■ 「どう売るか?」の前に、「どう在りたいか?」を問う

一般的な経営者が「どうすればもっと売れるか?」という問いに腐心するとき、私は自分自身にこう問いかけます。

このスタンスが試されたのが、「THE濃縮塾」の運営について悩んだときのことです。メンバーが離れていく現実に、一瞬、心が大きく揺らぎました。「もう、やめてもいいのかもしれない」とすら思いました。

でも、実際に会場で参加者たちと対話を重ねる中で、腹の底から声が聞こえてきたのです。

「ああ、やはり、これが私の役割なのだ」と。

“売上のため”ではありません。“自分の存在意義を確かめるため”に、私はこの場を続けています。

この揺らがない軸があるからこそ、私の言葉や企画は、表層的なテクニックを超えて、誰かの心に深く響くのかもしれません。そう信じています。

■ おわりに:これからの時代に求められる「自己探究型ビジネス」という羅針盤

これからの時代、AIがマーケティングをこなし、情報は溢れ、ノウハウはコモディティ化していくでしょう。そんな中で、本当に価値を持つもの、差別化されるものは何か?

それは、「その人だからこそ、やる意味があるビジネス」
言い換えれば、「自己探究と深く一致したプロジェクト」だと私は思います。

私が体現しようとしているのは、まさにその生き方です。

ビジネスを自己探究の旅路と捉えるこのスタンスこそが、正解のない、変化の激しい時代を生き抜くための、一つの“羅針盤”になる。私はそう信じていますし、これからもその道を歩み続けたいと思います。

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